「さ行」
3年1組1番 [さんねんいちくみいちばん]
- 2年生から3年生へと進級するクラス替えのとき、担任団がいちばん気をつかう席。
それから1年後の卒業式。卒業証書の授与でその生徒には、いちばんはじめに「はい!」と元気な返事をするという大役が待っているのだ。
しおり [しおり]
- 学年担任団が発行する数々の小冊子。
「入学のしおり」に始まって、「学習のしおり」や「進路のしおり」、各休み前に発行される「夏休みのしおり」などがある。
どれもきめ細やかに作られており、なかでも進路のしおりの1学年版は70ページ以上にも及んで、学部や職業、資格などの情報がつづられている。
各企業からいろいろな進路学習の冊子が出ているなか、それでも自分たちで資料を制作してしまうところがすごいところである。
なお、ちゃんと毎年手が加えられており、同じ内容の冊子は二度と発行されない。重要なしおりともなれば全面改訂してあるのは当たり前なのだから、たいしたものである。
時鐘 [じしょう]
- 校舎中央の階段のてっぺんにある謎の鐘。滅多に鳴らないが、まれに、チャイムの調子が悪いときには担当の先生が手動で鳴らすと、レトロな響きが校舎を包む。
現在の校舎が建設される前の1971年度卒業生が寄贈していったもの。
十手 [じって]
- (1) 大江戸八百八町の治安を守る役人たちが用いる武具。
(2) 1年生が「じって」と聞いて最初に思い浮かべるもの。実際は実力テストのことを指すことが多い。まず何の説明もなく先生の口から発せられる。
シャトルラン [しゃとるらん]
- 1500mに代わってスポーツテストの正式採用となった地獄の種目。
詳しい説明は省くが、要するに脱落したものからアウトになっていく無限耐久レースである。
この種目で優秀な成績を収めるためには、持久力、精神力、忍耐力、根性、意地、などがあればよい。
富校体育教官たちは1500mからシャトルランへの移行に際し、心を鬼にして、シャトルランの採用と同時に1500mの存続をも決議した。
住所 [じゅうしょ]
- さすがは百年の歴史を超える富山高校、住所も完璧である。
「富山市太郎丸1番地」
これ以上の隙のない住所があるだろうか。
授業の開始 [じゅぎょうのかいし]
- 富校では、始業が近づくと教師たちがずらりと廊下に並び、チャイムと同時に一斉に教室へ入り授業を開始する。
チャイムの前には決して教室には入らず、逆にチャイムに遅れて入ることもない。
このことは終わりにも当てはまり、授業が延長されることは滅多にない、はず。
つまり「授業時間」というものを完全に徹底しているのである。富校のよき伝統の一つ。
塾や通信添削 [じゅくやつうしんてんさく]
- 富校の学習指導方針は「これだけやればあとは何もいらない」「授業がすべて」というまでの、授業とその予習、宿題の徹底である。
逆に言えば、それだけすべてこなすなら、塾に行っている暇はない、ということだ。
学習生活実態調査の結果を見ても、塾や通信添削をしている生徒は少なめである。
このあたり、都会の進学校とは趣の違うところであろう。
宿題 [しゅくだい]
- 課題と同義語。富山高校の宿題は地獄である、と思っている中学生は多いが、宿題っぽいものはすべて「予習」という名前が付いているので普段の宿題の量は少ない。
ただし、休み中の宿題の量は地獄である。夏休みはもちろん、冬休みや春休み、そしてゴールデンウィークまでもが宿題の「ターゲット」となる。
期日までにすべてやり遂げる者は偉大であり、無上の達成感を満喫することができる。
賞状 [しょうじょう]
- 球技大会や体育大会、文化活動発表会といった、クラスが単位となる行事で優秀な成績を収めたところに授与されるもの。
年度を通して教室の黒板の上に誇らしげに掲げておくのが一般的であるが、賞状の多い豪勢なクラスではスペースが足りずに背面の黒板の上にまで貼り付けてある。
また、はりきった担任などが家から額まで持ってきてしまうことも多々ある話である。
食堂 [しょくどう]
- 北辰会館に内蔵。食券制度。毎日大勢の生徒が利用し、昼休みがメインであるが、3限後の休み時間にも生徒の姿が見られる。
建物が新しいのでとても気持ちがよく、明るい内装である。
メインメニューはうどん、そば、天ぷらうどん、天ぷらそば、ラーメン、カレーライス、カツカレー、オムライスカレー、日替わり定食、ライスである。
昔は夏季限定の冷やし中華や冷やしうどんがあったが、新しくなってから一時なくなってしまい、復活の要望が高かったので復活した。
ライスに80円でカレーのルーをかけてもらう「ミニカレー」という技があったが、もはやすたれた。
それに代わって登場したカツカレーは大変な人気を呼んでおり、昼休みになってようやく食券を買いに行くような手ぬるいことをやっていたのでは永久に食べられない。
このほかにも一品料理として串カツ、コロッケ、ホットドッグ、おにぎり、みそ汁がおいてあり、チャリンとお金を入れて持っていく。
私立大学 [しりつだいがく]
- 私立の大学。富山高校は浪人も含めると7割から8割が国公立大学へ進学してしまうので、私立へはあまり行かない。
これは御三家にすべて共通して当てはまり、富山県の国公立志向の強さがうかがえる。志望校調査には私大を書く欄がなく、受けたい者は勝手に受けなさい、というムードである。
私大に決めて教科をしぼることは後からいくらでもできるので、後にしなさい、というムードでもある。
慎重敢為 [しんちょうかんい]
- 大正4年に制定されて以来、今日まで続く富山高校の校訓。ことあるごとに登場するのでとてもなじみ深く、富校生は全員知っている。
スプリングコンサート [すぷりんぐこんさあと]
- 吹奏楽部による定期演奏会。毎年春休みに開催される。
富校の吹奏楽部とその定期演奏会は、県下でもっとも古い歴史を持ち、第45回には富山市公会堂の取り壊しにともなう さよなら公演もおこなった。
・・・といっても、お堅いクラシックのコンサートではない。
そんなイメージを持っている人もいるが、ふつう、高校の吹奏楽の定期演奏会というものは明るく楽しいものであり、スプリングコンサートも例外ではない。
1部はオリジナル、2部はクラシックの吹奏楽用編曲、そして3部がポップスステージであり、吹いて踊って動き回ってもう大変である。
ソロ演奏の時には、あつい声援が必ず飛び交う。
生徒手帳 [せいとてちょう]
- 校訓や校歌、生徒心得などの書かれたコンパクトな手帳。
常に携帯しておかないと先生に怒られるが、そうでなくても身分証明としての価値は大きく、なにかと役に立つ。
高校3年間で数えるくらいしか開かない生徒もいるが、中に書き込みのできるカレンダーがついているため、ぎっしりとメモを取っているひとも結構多い。
カバーの色が学年によって異なり、1年は女子のリボンに合わせたかえんじ色、2年はやはりオリーブ色、3年は男子の記章台の色で青である。
ただしカバーの色は年度によって変わったりもしており、2年が山吹色の時代もあった。
生徒の学力 [せいとのがくりょく]
- 教師も人間であり、元大学生であり、元高校生である。
難関大学を目指す生徒ともなれば、3年生の頃には教師を困らせるような質問をする生徒も出てくる。
しかし、実は教師によってはそれがうれしかったりもする。
生徒名簿 [せいとめいぼ]
- 毎年4月、全員にもれなく配られる。全校生徒と全職員の住所氏名に電話番号、生徒の欄には出身中学も載っており、便利この上ない。
気になるあの人の電話番号も、これさえあればすぐに分かってしまうのである。
・・・そんな生徒名簿も、プライバシー尊重のご時世にあってその姿を消してしまった。今では自分のクラスの電話番号一覧がプリントで配られるだけである。
撤廃したからといって、外部への名簿の流出が防げるわけもないのに、形だけでもプライバシー保護の立場を表明しなければならない世の中。
押さえられる損害は少なく、得られたはずの利益の喪失は大きい。
席替え [せきがえ]
- 完全に各クラスの裁量に任された恒例行事。
誰が取り仕切るのかもまちまちであり、いつどのくらいの間隔で行うのかもさまざまであり、クジなのかアミダなのか担任独断なのかもバラバラである。
4月に一度やったきり、3月までついに席替えはしなかったという固体のようなクラスもあった。
1500m [せんごひゃくめえとる]
- 5月になると、スポーツテストに向けて体育の時間に1500mを走る。
ここで要チェックなのが、優秀な記録の者は第一体育館玄関の扉に、所属部と共に貼り出されるという点である。
男子の場合は5分を切ることが条件であり、部の宣伝のため、そして自らの挑戦のために力をしぼる。
スポーツテストの改変によってシャトルランに取って代わられ、正式採用種目ではなくなったが、富校は両方やる。
掃除 [そうじ]
- 富校の掃除はもちろん生徒でおこなうのだが、クラスによってそのシステムはまちまちである。
これは、クラスごとにいくつかの掃除分担場所だけが決められており、その割り振りは担任の裁量に任せられているためである。
そのため、1週間交代のところもあれば、2週間交代のところもある。1週ごとに休みになるクラスもあれば、休みなく永久に当番が続くクラスもある。
担当場所4つのクラスを、4班に分ければ休みはないし、8班に分ければ場所ごとの人数は減るが、1回ごとに残りの4班は休めるわけである。
ただ、おおむね3年生は比較的楽な掃除分担になるように配慮されているように見える。はよ帰って勉強しろ、ということだ。
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