校章富校生の一年
 輝かしき富校生の一年をここに著す。まばゆいばかりである。ああ、富校生っていいな。

〜春〜
入学試験
中学の卒業式
合格発表
新入生説明会
再販日
スプリング
 コンサート

入学式
始業式
入学おめでとう
 テスト

春休み宿題テスト
4月進学模試
新入生オリエン
 テーション

前期生徒会
 役員選挙

学習生活実態調査
身体測定
ゴールデン
 ウィーク

単科テスト
1学期中間テスト
教育実習
〜夏〜
1年宿泊学習
2・3年遠足
校内実力テスト
6月進学模試
球技大会
窓はずし
1学期末テスト
夏期補講(前半)
終業式
夏休み
卒業生との座談会
夏の高校野球
1年理数科
 野外実習

コーラス
 コンサート

運動部合宿・
 文化部研修旅行

8月進学模試
夏期補講(後半)
夏休み宿題テスト
〜秋〜
始業式
体育大会
センター試験願書
文化活動発表会
学習生活実態調査
9月進学模試
単科テスト
後期生徒会
 役員選挙

2学期中間テスト
文化講演会
単科テスト
校内実力テスト
11月進学模試
コース登録
〜冬〜
2学期末テスト
12月進学模試
冬期補講
球技大会
終業式
冬休み
始業式
冬休み宿題テスト
年賀状展
寒稽古
センター試験
創校記念日
単科テスト
国公立大願書
 校内受付

3年学年末テスト
予餞会
私立大入試
校内実力テスト
国公立大前期試験
学年末テスト
〜春〜
卒業式
春期補講
入試休み
終業式
春休み

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     〜春〜
入学試験
 三月中旬。すべての富校生が通ってきた難関である。倍率はおおむね1倍少々であり、他県とくらべると門は広い。
 この日のために日々勉強に励み、受験生の楽しさを満喫してきたわけだが、富校に入ったあとの方が楽しさ100倍であることはあまり知らないでいる。
 なお、この間富校生たちは2日間ものおやすみにハッピーであり、懐かしきあのころを思いながら「ああ、中学生っていいなあ。がんばれ」などと親心にひたるわけである。

中学の卒業式
 ふつう、合格発表の前日。 とはいえ、あんまりあしたのことなんか考えずに、とりあえず笑顔で卒業しちゃうのである。おめでとう。
 そんななか、中学の先生はハラハラだったりする。安心させてあげなければならない。

合格発表
 3月中旬。12:30発表。直前には正門のあたりに引かれたロープの前は中学生でいっぱいになる。みんなドキドキである。 あまりドキドキしていない人もまじっており、そんなのはたいていビラ配りである。 ものすごく楽しそうな人もおり、そんなのはたいていミーハーな富校の女の子たちである。
 ロープがとられると同時にわっと走り出す。受験番号はふつうミルクホール前に掲げられている。 各種マスコミも集まっており、誰にもまけない満面の笑顔で3分もそこで喜んでいれば、その日のニュースでの放送は堅い。

新入生説明会
 3月下旬。合格から1週間足らずで気分もウキウキの頃である。 ああ、ここで高校生活を送るんだ、なんて思ってぼ〜っとしていると大切なことを聞きのがしてしまい、高校生活が始まっていきなりこけることになる。 とはいえ、それを利用して近くの人と仲良くなっておくのはみごとな手である。 ただし、この説明会で言われることは並の量ではない。
 怒濤の宿題も登場する。富山高校特製の数学問題集と 中学英語おさらい問題集、そして富校生としての決意を語る作文である。 数学などは高校の範囲もしっかりと入っていたりするのだから恐ろしい。 春休みは思い切り遊ぶぞ、なんて言ってた人も、この日突如として、やらなきゃいけないことでスケジュールが埋まる。
 また、ふいなことにこの日には芸術と武道の選択を決定しなければならない。すなわち音楽・美術・書道と、柔道・剣道・ダンスである。 もちろん新入生たちは心の準備もなく、いきなりこのことを知らされるわけである。 なかよしの友達としめしあわせる間もなく、登録用紙は提出となる。
 なお、この日はさらに、スプリングコンサートのチケットがもれなくもらえる。

再販日
 事前になんの説明もなく迎える新入生説明会で、いきなり記章やボタンの販売。え、お金いるの? そりゃないよ、というわけで再販日である。
 ミルクホールでの販売では、あまねく吹奏楽部の勧誘を受ける。こんなときに私服で来る新入生はなかなか大胆でよろしい。

スプリングコンサート
 ふつう、4月の第1日曜。3月下旬の年も。富校吹奏楽部の定期演奏会である。他校生や卒業生のほか、一般客も大勢観に来られる。 富校生は基本的に全員チケットを買いましょうということになっており、「買ったからには」の原則によって観に行く生徒は多い。 ただし、春休みの宿題が終わりそうになく、それどころじゃなくなってくるのもこのころである。
 3部構成であり、第1部でわくわくし、第2部でうっとりし、最後のPopularステージははじける。
 なお、新入生たるものタダでチケットもらったからには観に行かずにはいられない。

始業式
 「ようし、これからは本気で毎日勉強するぞ」とやる気あふれる生徒が多い。 3年生は本当に実現するのだが、2年生はあまり実現しない。
 教室に戻ると学習のしおりが配られるが、3年生は1年間の予定に書かれた校内・校外模試の多さにびっくりし、受験生であることを強く実感させられる。

入学式
 2・3年の始業式が終わったあと。晴れて富山高校に入学し、気分はうきうきである。 コーラス部と2年生有志によって歌われる校歌、そして百周年記念賛歌に感動する。 クラス編成も発表される。このとき、すてきな担任にあたるかどうかは重要なポイントである。
 教室に入ると、横幅いっぱいにひろがった高校の黒板の大きさにびっくりするとともに、中学に入学したときにも小学校と比べて同じことでびっくりしたことを思い出す。
 2・3年も、初々しい新入生が入ってきてうきうきであるが、同時に新入部員獲得戦の火蓋も切って落とされる。

入学おめでとうテスト
 入学式の翌日。県下いくつかの学校が同じテストを受けている。 入学2日目とはいえ、ついこのあいだ難関をくぐり抜けてきたばかりであり、 国数英の3教科などわけはない。春休みによっぽど遊んだのでなければ、みんな高得点である。 または、春休みによっぽど遊んだ場合、入学早々 学年担任団に名前を覚えてもらえる。
 なお、この日は春休みの宿題提出日でもある。さすがに入学していきなり忘れてくるのはまずい。

春休み宿題テスト
 新入生のおめでとうテストと時を同じくして、2年生は1年生とは対照的に頭を抱える。 宿題の提出日でもあり、あまりだしていない生徒はこの日一日気が重い。

4月進学模試
 同じ日に1年生はおめでとうテスト、2年生は宿題テスト。さらに名を変えて3年生は進学模試である。年を経るごとに気の重くなる名称になっている。
 これ以後、3年生には「テストのない月はない」一年間が始まる・・・と言うよりテストのスキマを埋めるためにこの進学模試がある。

新入生オリエンテーション
 第二体育館にて、新入生に教科・部活・生徒会・応援などの説明がある。ずっと座っているのはつらい。 このとき、気合の入った部の部長は好印象獲得のために一生懸命になる。 1年生は、たいてい放送部の「アナウンス声」と、ESS部の「リアル英語」におどろく。

前期生徒会役員選挙
 ふつう、2年生が会長に立候補する。選挙戦が勃発することもあるが、立候補者が一人で信任投票ということも多い。 副会長などの役員は当選後に会長が選ぶので、仲良しこよしが集まることになる。

学習生活実態調査
 4月中旬から1週間。学年担任団が生徒に贈るスペシャルアンケート。 様々な調査項目があるが、メインは一週間の生活の記録である。
 富校生は4時間の家庭学習を求められているが、たいてい学年平均値は3時間半くらいである。 ただし、2年生におけるこの数値の信頼性は低い。 3年生をのぞけば、一般に1年生のこのときをピークに、家庭学習時間は2年間かけて少しずつ減っていく。
 なお、この調査用紙の提出期限は絶対的である。 忘れた場合には、自転車通学圏の者はたいてい取りに帰らされ、家の遠い者は新しい用紙に思い出しながら書かされ、その日欠席した者は電話にて内容を読み上げることになる。

身体測定
 4月中旬から下旬ごろ。女の子が昼食を抜く日。

ゴールデンウィーク
 高校の授業に四苦八苦している1年生が、ここで安らごうと考えるのは大まちがいであり、全国各地で人々が羽を広げるなか、富校生は地獄の宿題にあえぐことになっている。 単科テストと中間テストの足音におびえつつ机に向かうのである。

単科テスト
 学年担任団の定める1つの教科のテスト。なめてかかってはいけないことになっており、これ以後、担任団の気分に合わせて年に数回課される。 「富校生の一年」では、単科テストの設定日として担任団に狙われやすい主要な時節を紹介していきたい。
 なおゴールデンウィークをゴールデンウィークらしく過ごしてしまうとここで痛い目にあう。

1学期中間テスト
 5月中旬。学年初めの定期テストであり、意気込みは高い。 1年生は初めての本格的な高校のテストにドキドキであり、たいてい問題量の多さにびっくりしつつ時間切れである。  2・3年などは、分かっていながら時間切れである。
 ここで、富山高校の家庭科をなめてかかるのは、1年生の犯しがちな大きな過ちである。 伝統的にそうなのか、今の家庭科担当教師がそうしているのかは今のところ定かではないが、 予備知識なしの1年生の場合、何もやらなければ赤点必至、こんなもんだろう、程度の勉強では70点台も危うい。
 このころになるともう、つい2ヶ月前まで秀才ばかりであったはずの1年生に、数学で10点台をとっちゃうやつとかがでてくる。
 なお、テストが終わり、開放感でいっぱいなその日の内に配られるプリントは、次なる実力テストの範囲である。

教育実習
 5月下旬。富校卒業の大学生がいっぱいやってきて、「あ〜、懐かし〜」などと言いつつ一生懸命授業をする。 かわいい先生やかっこいい先生がこないか、やばい先生で授業が他のクラスより遅れないか、の2点に生徒の関心が集まる。
 このとき、2年生は彼らとの座談会があり、富校時代の楽しい生活や大学生活の生の声、そして大学受験に際しての心構えや将来の職業について語ってくれる。 ただし、その場にいる2年の学年担任団の中には彼らの恩師も含まれ、さぞかし話しにくいものと思われる。

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     〜夏〜
1年宿泊学習
 6月中旬。楽しくてしょうがない行事の一つ。バスに乗って石川県は能登へ。 112期から1日短い1泊2日となってしまって悲しい。 メイン活動は、文活に向けてのクラス研究の取り組みである。
 やはり宿泊の華は夜であろう。男子も女子も女子や男子の話で盛り上がるのである。 クラスの団結は深まり、親友ができ、カップルも誕生する。 これらはすべて、先生の夜の見回りが厳しければ厳しいほど、かえって大きくはぐくまれるのである。
 実力テストが目前であり、勉強の用意をしてくるやつもたまにいるが、楽しいムードに圧倒されて結局できない。

2・3年遠足
 1年宿泊と同じ頃。毎年行き先はアンケートによって決まるが、まあ、だいたい似たようなところへ行くものである。 東京ディズニーランドに200票はいっても、たぶんいけない。金沢と飛騨高山が定番であり、前者の方が人気が高い。
 一般的に日帰りという点で1年の宿泊の方がうらやましいが、クラス別のバスの中ではカラオケなんかをやって騒ぐ。 なお、その際先生がマイクを握るバスが現れるのはおきまりである。

校内実力テスト
 6月中旬。上記のような楽しい行事の直後、日曜をはさんですかさずやってくる。 国数英、それぞれ数冊ずつの参考書・問題集から出題される。 3教科すべての範囲を合計すると300ページは軽く超えていく。
 ここでものを言うのはゴールデンウィーク中の家庭学習である。 どの参考書も授業では扱わないので、やってこなかった場合はひらきなおろう。

6月進学模試
 実力テストのことであるが、3年生だけは「進学模試」と言い、国数英の3教科に加えて2日目に地理歴史が加わる。
 英語100分、数学120分、お昼をはさんで国語100分というスケジュール、時間内に解けそうもない問題、または時間があっても解けない問題、などは健康に良くない。

球技大会
 実力テストが終わってまもなく。グラウンド・第一体育館・第二体育館をフルに使って、全員参加で丸一日おこなわれる。 クラスごとに、サッカーやテニス、バスケットボールなどの種目に生徒を編成し、各種目の順位による得点で競い合う。 どの競技もトーナメント戦であり、負けてしまうと自分のクラスの応援に回るので、各競技の決勝戦は応援、観客がひしめき合うなかでの試合となる。
 日頃勉強に忙しい富校生が、このときとばかりに暴れ回る日の一つ。 ソフトボールの優勝チームは職員チームと対戦するのが恒例となっており、実況付きでなんでもありの試合はミモノである。 3年生はこれが最後の球技大会となるので、張り切るクラスのなかには事前練習をおこなうところもある。

窓はずし
 6月から7月にかけて執り行われる、富校夏の風物詩。廊下との間にある窓をはずすことで、教室の風通しをよくしよう、という趣旨である。 はじめは気のついた教室が突発的に取り払い、「その手があったか」と、まわりの教室があとに続く。 たいてい年季の入った3年教室が先駆けとなるが、階段を越えた広まりはなかなか見られず、窓はずしのない1年教室もめずらしくない。
 取りはずした窓は、廊下の傘置き場あたりへ無造作に立てかけておくのが伝統。 はずせる窓は上段・中段・下段の3種類あり、中段はずしが一般的だが、三段総はずしを繰り出すことができれば一人前のクラスだと言える。

1学期末テスト
 7月初め。中間にはなかった保健が加わる。 家庭科もここで仲良く加わればいいのだが、中間から顔を出している。
 テストの日程では、どの教科とどの教科が組合わさるかが生徒にとって重要であるが、英語に化学、そして家庭科の3教科あたりが組み合わさると、その日の前日は暗記ばっかりである。

夏期補講(前半)
 期末テストが終わるや否や、休む間もなく開講される。全員参加。 午前だけで終わるというものの、毎日予習の必要な国数英が続くため、普段の授業よりも大変という話もある。
2年生になると、さらに地歴・理科から一教科追加となり、地獄度を増す。  このころすでに夏休みの宿題が配られ、暑い毎日に寒気をもたらす。 すべて期日までに提出しようと思うなら、配られた日からすかさず本気で取り組まなければならない。
 なお、補講の最後には確認テストなるおまけが付いてくる。

終業式
 海の日前日。1・2年生はいよいよ待ちに待った夏休みの到来であり、気が気ではない。 たとえ宿題があろうとも、予習のない日々というだけでうれしくてしょうがないのである。
 一方、3年生はこのあとも7月いっぱい補講が続くので、終業式に抱く思いは「きょうは補講が休みでうれしいな」に過ぎない。

夏の高校野球
 年によって違うが、例年終業式が終わってすぐ。夏のイベント最高峰に君臨し、毎年尋常ならぬ盛り上がりを見せる。
 汗を流すのは野球部員だけではない。スタンドを見回せば、勇ましい応援団、踊るチアリーダー、懸命な吹奏楽部員、駆けつけた富校生、息をのむ教職員、近所のおじさん、などがいるのだ。 炎天下の試合となると、顔色の悪い女の子が多く見られるが、日射病かと思ったらそれはたっぷり塗られた日焼け止めクリームである。

夏休み
 一年のうち、もっとも心安らぐ日々。月日がたつのは早いが、宿題が減るのは遅い。 夏休みにおいて「宿題やっとる?」とは、会話のでだしに、すれ違いのあいさつにと用いられる頻出表現である。
 暑い中家で勉強していると集中力がにぶるので、冷房のきいた百周年記念館には連日生徒が殺到する。 また、風通しのよい教室で勉強する生徒もいる。
 3年生はここで一気に学力を伸ばさんとがんばる。富校3年生の夏休みは本当に伸びるが、体育大会に大仕事を抱える生徒を除く。

卒業生との座談会
 夏休み中にある。細かな開催時期は決まっていないが、「今年卒業して大学1年生」という先輩を数名集めて、受験をひかえた3年生に大学のようすを紹介しよう、というありがたい企画。 夏休みが始まると、進路指導関係の先生は卒業生集めと日程調整に思いきり苦労する。
 呼ばれた卒業生の方は、タダで帰省できる上になつかしい先生や同級生にも会えて、図書券にお弁当までいただけてしまうのだから言うことナシである。 ただしこの座談会、私立大学に進学した者は絶対に呼んでくれない。

1年理数科野外実習
 7月末。富山県の名峰、立山は室堂山荘での1泊2日の実習。 植生・地層・温泉の化学成分など、生物や地学や化学といった分野を中心に野外学習をおこなう。 が、それでも盛り上がるのは夜であり、理数科の団結をさらに高めてくれる。
 なお、ムード満点の星座観察を逃す手はない。

コーラスコンサート
 7月終わり。富校コーラス部による定期公演。 スプリングコンサートと同様に、富校生は全員チケットを買いましょうなので、「買ったからには」の原則が働く。 夏休み最初のイベントでもあり、観に行く生徒は多い。男子部員が少ないので、応援に駆り出される男子生徒もいる。

運動部合宿・文化部研修旅行
 7月終わりから8月初めにかけて、各部の合宿がある。 行き先は様々であるが、宿泊設備の整った富校のセミナーハウスに泊まるところもある。 大会や発表を前にした強化合宿もあれば、部員の親睦を深める和やかな目的のものもある。 どちらにしてもやっぱり盛り上がるのは夜であり、部の結束はさらに強まる。

8月進学模試
 3年生のみ、8月20日ごろの2日間開催。これより前にやはり2日間開催で外部の模試があり、富校3年生の夏休みはお盆とともに幕を閉じる。 これに続くことさらに2日間で東大模試を受けるものもいる。次に始まる補講までノンストップである。

夏期補講(後半)
 夏の補講の第2弾であり、夏休みの後半、8月下旬に開かれる。 提出期限が補講初日の宿題も多く、世間が夏休み気分満点のなか、自分たちはすでに2学期気分が始まってしまうのが悲しい。

夏休み宿題テスト
 夏期補講中におこなわれる。万全の体制でこれに臨める者は少なく、裸一貫で挑むしかない者は多い。

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     〜秋〜
始業式
 補講終了からあまり間もないので、2学期の始まり感に欠ける。 とはいえ、この一区切りに「2学期からは勉強がんばるぞ」と、1学期にも言っていたような決意をする生徒は多い。

体育大会
 9月初旬。富校生がもっとも燃え上がる行事。特に3年生は富校生活のすべてを賭けており、意気込みがすさまじい。
 夏休みなど、それぞれに応援練習や衣装縫製、デコレーションパネル制作などでスケジュールがいっぱいになる。 特に壮絶なのは衣装係であり、こりにこった団の係などは、友達の家での徹夜作業も朝飯前となる。
 本番が近づいてくると放課後は、リーダーが教室で応援の計画を練ったり大道具をつくったり、衣装係が廊下で小物づくりや縫製をしたり、 デコレーション係が第二体育館のピロティでパネルにペンキを塗ったりと、3年生は授業の疲れをものともせずに活動する。
 クラス単位で団に所属するので、クラスの団結が深まる。 また、たいてい学年ごとに各団2クラスずつなので仲良しクラスが誕生する。
 終了後、3年生は疲れも忘れて、その日の打ち上げで思い切りはじける。 また、この日を境に、3年生は本気の受験モードに突入していく。

センター試験願書
 燃えまくった体育大会が終わり、3年生が「1・2年生は文活準備で楽しそうだねー」、などと高校生活の余生を語りだした頃・・・。 ホームルームの時間に先生が封筒の束を持って教室に入ってくると、クラスは得も言われぬ雰囲気に包まれる。
 誰かがそっとつぶやく。「ねぇ、あれ・・・」「おい、なによあれ」「せんせー、しゃなんけー?」 先生はうれしそうに答える。「センターの願書だぞー」「ギャー」。

文化活動発表会
 9月下旬、2日間に渡って開催される。富校生がもっとも活き活きする行事。 体育大会が終わると3年生が受験一色になるのに対して、1・2年生は文活一色になる。
 文化部の発表や個人発表などももちろんあるが、富校の文活といえば、やはり各教室が展示物で埋め尽くされるクラス研究だろう。
 6月頃から、1・2年の各クラスは研究対象となるテーマを定め、文活での発表に向けて調査・研究に取り組み始める。 夏休みともなると、市立図書館では富校生が専門書をあさり、駅前では街頭アンケートを実施する光景も見られる。 ここで重要なのがクラスの士気であり、やる気あふれるクラスだと、忙しさが2倍であるが日々の充実感は2乗である。 体育大会が終わる頃から放課後は、教室や廊下などでガンピへの書き込みが始まり、歩きにくくなる。 本番が近づくと、これに大道具や看板制作も加わってくるので足の踏み場がなくなる。
 がんばるクラスほど展示物が多く、連日の放課後作業をもってしても完成しないクラスがでてくる。 ところが、放課後の活動は6時までと決められているので、あとは朝しか残っていないのである。 そんなわけで、毎年本番当日は、朝の5時6時といった時間に集合がかかり展示作業に取り組むクラスが多い。
 クラスの団結がまたまた深まる行事である。

学習生活実態調査
 ここで文活気分を一新される。1・2年生はたいてい1学期に比べて学習時間は減っているものである。 3年生は調査免除。記録する時間も惜しんで勉強しなさいと言う意味にとりましょう。

9月進学模試
 9月末。3年生のみ。楽しかった9月の終わりを告げる不吉なテストである。この時期、まだまだ追い上げの足りない富校生は点数も不吉である。

単科テスト
 文活から1週間もたたないうちにやってくる。 もちろん文活中にテスト勉強の暇はなく、直前の日曜日などに大あわてで範囲に取り組むことになる。 ただし、担任団も鬼ではなく、範囲は控えめであることが多い。

後期生徒会役員選挙
 10月中旬。体育大会や文活といった大きな行事を抱える前期に比べると、後期は穏やかなものである。 なお、このときの役員には1年からも2名入れることが通例となっており、自分たちから役員がでることに、1年生は世代の移り変わりを感じさせられる。

2学期中間テスト
 10月中旬。1年生もそろそろ富校のテストに慣れてくる頃であり、結局は日々の予習なんだ、ということに気づく。 「ようし、予習はしっかりやろう」と思うか、「じゃ、無理だ」と思うかはそれぞれである。
 テストが終わり、ほっと一息ついたその日に配られるのは、やはり実力テストの範囲である。

文化講演会
 10月の終わり頃。各界で活躍する富校の卒業生からおひとりをお招きしての講演会。 さすがは富山高校、こういうところで人物に困ることはない。立派な方たちは数多いのである。 ただし、さすがは若き高校生、ついうっかりうつらうつら、ということも。 卒業生の方も自分の富校時代を思い出しながら苦笑いといったところ・・・。

単科テスト
 11月上旬、2学期2度目である。 このころはちょうど校外模試が終わったあたりであり、きたる実力テストもあわせてテストが目白押しである。 文化の日はあまり遊べない。

校内実力テスト
 11月中旬。このころはめっきりと行事もなくなり、自動的に勉強に気合を入れることになるため、「いっちょがんばってみるか」という気になりやすい。 2年生はここで初めて地歴・理科が実力テストに加わるのでちょっぴり不安である。

11月進学模試
 1・2年生の実力テストと時を同じくして3年生は進学模試。いよいよテスト内容が「既習全範囲」となる。 このため、これまで範囲の予習をしっかりこなして点を稼いできたコツコツタイプがテスト対策法を失い、ちょっと苦しくなる。

コース登録
 このころ、1年生は文系理系の選択、2年生は地歴・理科のコース選択がある。
 1年生にとっては人生を左右しかねない重大な選択のため、毎日このことで頭がいっぱいであり、学年担任団や部活の先輩に相談しまくることになる。
 このとき1年生は地歴・理科の選択もいっしょにしなければならない。 初めは興味や関心で選んでいくのだが、先生の「世界史、日本史は難しいぞ」の一言により、突如地理が人気を博すようになる。

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     〜冬〜
2学期末テスト
 12月初め。寒くなってくると身も引き締まるのか、気合が入りやすい。 ただし、テストの結果とはあまり関係がないことが多い。

12月進学模試
 3年生のみ。期末テストの翌日に始まるのだからたまったものではない。 とはいえ、そうでなくとも3年生はこのほかマーク模試やら大学別模試やら、テストだらけである。 3年生になってから毎月テストをこなしてきたが、このころには毎週テストになってしまう。

冬期補講
 期末テスト終了後、やはり間髪入れずに開講される。夏の補講よりも期間が長く、地獄度は高い。 年末年始で忙しいというのに、短い期間とはやけに不つりあいな量の宿題も配られ、冬休みに向けて夢も希望もなくなる。

球技大会
 12月上旬。補講期間中、午前の補講が終わったあとにおこなわれる。1・2年で日をずらす。
 このとき、補講のことを思い出してはならず、口に出すことなどもってのほかである。 全身全霊をスポーツに傾けなければならない。

終業式
 クリスマス直前。たとえ補講中の予習が大変であったとしても、この時点で冬休みの宿題に手をつけてないとしたら、前途は暗い。
 なお、きたるクリスマスの幸せ度は、天と地球の裏ほどの個人差がある。

冬休み
 クリスマスにお正月と、楽しい楽しい冬休みであるが、もっとも富校生らしい冬休みとは、年末年始にかまうことなく、終始一貫して宿題に明け暮れる毎日である。
 暖房のきいた百周年記念館で勉強する生徒はいるが、寒気のする教室で勉強する生徒はいない。
 3年生はここを怒濤の総仕上げとして、完璧な2週間を送る。

始業式
 あっという間の短い冬休みは容赦なく終焉を迎え、再び予習の日々がやってくる。 ただし、3年生にしてみれば、そんなものとはレベルが違うのである。 なんと言ってもセンター試験がいよいよいよいよ目前に迫っており、精神を統一せねばならない。

冬休み宿題テスト
 年末年始の世間の波に全く飲まれなかった者が勝つ。 ここでしっかりと3学期のはずみをつけたいところなのはやまやまであるが、あえなく粉砕する羽目になりやすい。

年賀状展
 百周年記念館の開催する恒例行事。先生や生徒のイキな年賀状が展示ケースにちりばめられており、「へー、○○先生やるなぁ」ということになる。 冬休み明けに配られる「記念館だより」に案内が書かれ、だれでも参加できるので出品しない手はない。

寒稽古
 1月半ば過ぎの3日間と納会が1日。別名地獄。1年生と柔剣道部員が、自分の選択している武道ダンスの練習、そして試合・発表会を「早朝に」おこなう。
 7時20分に必ず「準備万端で集合完了」のため、さらに早い時間に登校せねばならない。 この時期、富山は雪である。1時間以上かけて通学している生徒は、この時期大いに忍耐力を成長させる。

センター試験
 1月半ば。富校3年生が最も緊張し、胸が高鳴り、精神が昂揚し、顔を赤らめ、よくしゃべるようになる驚異の2日間。
 直前の登校日に学校で開かれる「センター試験激励会」は、恐れおののき3年生の不安を半減させ、武者震い3年生のお祭りムードを4乗させる。 不安派とお祭り派の隔絶は大変なもので、前日の行動、食事の摂取量、睡眠時間などでスグ分類できるだろう。 当日の朝などは双方ドキドキのお目覚め間違いナシであるが、やはり紙一重のところで表情には「はらはらドキドキ」と「わくわくドキドキ」の差がでている。
 会場は年によって富山大学になったり富山医科薬科大学になったり。試験開始の1時間前になっても姿を現さない生徒がいると、担任団は気が気でなくなる。 また、本番試験特有の長〜い休み時間には大答え合わせ会議がいたるところで開催され、果てしない議論が繰り広げられる。 試験2日目に、新聞に載った1日目の解答を見てから会場に来る生徒もいるが、富校進路指導部では「見るな」の方針が掲げられている。
 この「見るな」の方針は試験翌日の登校まで続いており、自己採点はみんなそろってやりましょう、ということになっている。 この日を「センター試験3日目」と言い、登校から放課後にかけて、お祭り騒ぎの盛り上がりは最高潮に達する。

創校記念日
 1月25日。つい忘れがちであるが、実はおやすみである。 だれもが気にかけていない分、不意にやって来るという効果があり、うれしさは格別なものがある。 この日が日曜日と重なろうものなら、やりきれない悔しさでいっぱいである。

単科テスト
 1月下旬から2月初めごろ。必ずしも実施されるとは限らず、この時期にまで単科テストを実施するようであれば学年担任団はなかなか手強いと見てよい。

国公立大願書校内受付
 1月の終わりごろ。3年生はこの日、自分の受験する大学の願書と募集要項を持って登校する。忘れたら即帰宅し即持参。 午前中にはいつも通りの授業があるが、午後には視聴覚室に大学地域ブロックごとの机が並び、担任団は穴が空く寸前まで入念に一人ひとりの出願書類を凝視する。 前期と後期の願書チェックを終えると、続いて特別校内開局の郵便局職員の方々の手により書留発送。
 ゆりかごから墓場までと名の高い富校の願書受付。慎重にして盤石なるこの手作業は、全員完了までなんと5時間にも及ぶ。
 ちなみに中部高校では勝手に最寄りの郵便局へ持っていきなさい、であり、いたれりつくせりで育つ富校生には信じられない。

3年学年末テスト
 2月初め、受験の冬も山場を迎え、何が何だか分かんないうちに突然やって来るテスト。サッと忘れてあとには何も残らない。

予餞会
 2月上旬。ひらたく言えば3年生を送る会である。
 1・2年生はクラス単位で「出し物」や「会場準備」、「招待状作り」などの役割を分担し、3年生に喜んでもらうために工夫をこらす。 役割は、希望が重なればくじ引きで決めるのだが、「出し物」などはあまり人気がないことが多い。 ただし、「出し物」をねらって意気揚々なクラスもある。そんなクラスに入りたいものである。
 ここのところ恒例となりつつあるのが、ハンドベルの演奏である。 幻想的な音色に3年生は酔うとともに、自分がベル経験者の場合はなつかしき練習の日々を思い出して感傷にひたる。
 そして、なんと言っても最も見どころとなるのは、3年の学年担任団による出し物である。 普段はとってもまじめで厳格な担任団が、この日ばかりはそろって芸人になる。 担任団にとって最強最大の行事と言っても過言ではなく、連日猛練習を積み重ね、当日はこりにこった衣装を身にまとって、一大ショーをやるのである。 3年生は、担任団の熱い思いに奮起せずにはいられない。

私立大入試
 2月はじめから半ばにかけてピークを迎える。関東や関西、金沢試験会場へと富校生は出かけていき、教室が静かになり、さびしい。

校内実力テスト
 2月中旬。ただでさえ暗い雰囲気の漂う冬の寒空に、重苦しいカーテンがのしかかるようである。 もちろん、実力テストおなじみである「何もやらないからこそ真の実力がためされる」などと言って砕けていく生徒もしっかりいる。

国公立大前期試験
 2月下旬。ほとんどの富校生が全身全霊をささげて、3年ぶりにえんぴつを削るとき。 受験前夜には学年担任団で組織される特別派遣隊からのガンバレコールがホテルの電話にかかってくるので、晩ご飯への外出は慎重にタイミングを計るとよい。 さらに翌朝、多くの富校生が受験する主要大学では特別派遣隊が大学校門などで待ちかまえており、やる気満々にさせてくれる。

学年末テスト
 2月下旬から3月。学年末と言っても1学期にやったことなどは出題されないので、要はふつうの定期テストである。
 定期テストもこれで最後であり、希望に満ちていたいところであるが、おなじみの補講はやっぱりなくならない。

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     〜春〜
卒業式
 3月上旬。富校は伝統的に卒業生一人ひとりに卒業証書を手渡しし、校長先生とのカタイ握手がもらえる。 楽しかった富校生活もここで終わりを告げるわけであり、淋しさでいっぱいである。 同時に、大学の合格発表がこのころであり、ハラハラでいっぱいでもある。
 正面玄関前の前庭には1・2年生がずらりと並び、吹奏楽による「百周年記念賛歌」と「蛍の光」に包まれながら3年生は母校を巣立っていくのである。おめでとう。

春期補講
 やってきましたおなじみの予習地獄。木々が、花が、虫が、そして大地が、皆でうららかな春を迎えようとするなか、富校生の毎日は冬である。

入試休み
 補講期間中、創校記念日と同じようにひょいと舞い込んでくる幸せな2日間。 ああ、今ごろ中学生は必死に問題を解いているんだなあ、かわいいかわいい。などと感慨にふけっていると楽しくてしょうがない。

終業式
 3月下旬。仲良しクラスでは別れを惜しんで文集やクラス誌が発行される。と、担任もうれしい。
 もっとも苦しい冬休みに比べれば、春休みは多少ゆとりがあり、季節の陽気も手伝ってこの日はみんな表情が明るい。 ただし、ゆとりがあるとは言え富山高校らしい宿題の量はゆずらない。

春休み
 夏休みに次いで富校生がもっとも活動的になる時期。 大学の見学のほか、春スキーに行ったり、ディズニーランドへ行ったり・・・。ただし、学割をもらうときは大学の見学が最前面に押し出される。
 富校生の一年もこれを区切りに再び桜の季節へとめぐっていくのであった・・・。

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